OPAM
2025.09.04

Special Interview(前編)「金曜ロードショーとジブリ展」誕生秘話

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全国各地で大人気の展覧会が、2026年早春の大分にやってきます!
金曜ロードショーの歴史と、この番組で放送されたことで日本中に愛されていった

ジブリ作品の歴史を時代とともに振り返りながら、映画の魅力を再発見できる本展。
その見どころを、日本テレビの依田謙一さんにお伺いしました。

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日本テレビプロデューサー
スタジオジブリ取締役
依田 謙一 さん

きっかけは鈴木敏夫さん

ーこの展覧会は2023年に初めて開催されていますが、どのような思いから企画されたのでしょうか?

 

 実はもともと、映画『君たちはどう生きるか』の展覧会をやろうというアイデアがあったんです。ところが制作が佳境になっていく中、プロデューサーの鈴木敏夫さんが「情報が溢れている時代だからこそ、まっさらな気持ちで見てもらいたい。全ての宣伝をやめ、1枚のポスターだけで公開初日を迎えることにチャレンジしたい」という意思を固めて。そうすると“君たちはどう生きるか展”はネタバレの宝庫になってしまうので、できません(笑)。そこで鈴木さんがふと「トトロが愛されるようになった背景には、金曜ロード ショーの存在がある。金曜ロードショーとジブリ展というのはどうだろう?」と言い出したのが、この展覧会のきっかけでした。

 

ー偶然にも、金曜ロードショーのスタートとスタジオジブリの誕生は同じ1985年ですね。当時の逸話を教えていただけますか?

 

 70年代後半からテレビでは毎日、映画番組を放送していました。この頃、映画はテレビで見る時代で、『風と共に去りぬ』を放送するとなると一大行事になっていたくらいです。スタジオジブリ作品は、映画番組の黄金期に放送がされ始めました。

 例えば、1988年に同時公開した『となりのトトロ』と『火垂るの墓』。両作品とも評価は高かったものの興行成績は振るわず、トトロの最終的な興行収入と『千と千尋の神隠し』が2日間で達成した興行収入が一緒だったほど。ところが、2作品とも金曜ロードショーで放送されるたびに人気を獲得していったんです。

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©studio Ghibli

『風の谷のナウシカ』の世界観に没入できるコーナーでは、造形作家の竹谷隆之さんが監修した王蟲などを展示予定。子どもが泣き出すリアルさだとか。

ラブコールに応えて

ーそんなエピソードにも触れられる展覧会、大分のファンも開催を待ち侘びています。

 

 私たちも、大分展は特別な気持ちで開催させていただきます。というのも、ご存知のように大分では金曜ロードショーが放送されていません。そんな地域で“金曜ロードショー”の冠が付いた展覧会を開催するのは申し訳ないと最初は心配していたのですが、主催する大分県立美術館やテレビ大分の方々からお話を伺う中で、大分ではケーブルテレビの普及率が非常に高く、多くの方が自然にご覧いただいていることが分かってきました。私自身が東京で大分県出身の人に会うたびに聞いてみても、皆さん「見ていた」とおっしゃるので、これは大丈夫だと安心して。熱いラブコールにお応えして開催できることは、我々にとっても嬉しいことです。

 

ーすでに巡回展が終わった地域で、かなりの人気ぶりだと聞いています。

 

 秋田展では通算100万人を突破。各地で、その土地で開催された展覧会としての最高記録を更新するほど大変多くのお客様にご来場いただいております。今や映画番組の数は大きく減り、ゴールデンタイム帯には金曜ロードショーだけになりました。視聴環境が変わってきている中、“テレビで映画を見る面白さ”が試されている時代。そんなことにも思いを馳せながら、金曜ロードショーとジブリの40年を見ていただきたいと思います。

 

文:冨松 智陽

 

 

つづく

information

日時
2026年1月17日(土)~3月31日(火)
10:00~19:00
  • 金・土曜は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
会場
大分県立美術館 1階 展示室A
お問合せ
大分県立美術館(097-533-4500)
主催
「金曜ロードショーとジブリ展」大分展実行委員会(公益財団法人大分県芸術文化スポーツ振興財団・大分県立美術館、株式会社テレビ大分)

この記事は「びびNAVI vol.111」で掲載された記事です。
五感の翼が広がる総合ガイド誌「びびNAVI」は、iichiko総合文化センター及び大分県立美術館の館内ほか、県内や隣県の公立文化施設などで配布中。

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