「西の星クインテット」始動!音楽を創る“人間ドラマ”を、公開
普段は各々の場所で活動しながら、大分出身という共通項で繋がる5人のアーティストたち。彼らがiichiko音の泉ホールに1週間滞在し、リハーサルからファイナルコンサートにのぞむまでのプロセスを公開する「おんがくのアーティスト・イン・レジデンス」が、5回目の開催を迎えます。
その見どころを、メンバーの宇野健太さんと長石篤志さんにインタビューしました。
文:冨松 智陽
新生クインテット
ー企画が始まって5年。初回と比べてメンバーの関係や演奏スタイルに変化はありますか?
宇野 当初、僕が知っていたのは高校の後輩だった(渡邊)智道くんだけでしたが、ほかの3人とも初対面という気がしませんでした。そして不思議なことに、毎年1年ぶりにみんなと顔を合わせても、全然ご無沙汰な感覚がないんです。
長石 僕も。知り合いは同じ先生にヴァイオリンを習っていた水谷くんだけでしたが、他のメンバーとも初回から関係性が良く、それは今も変わりません。
宇野 年を追うごとに「あそこに行けばいつもみんながいる」という感覚が強くなってきていて、僕にとってこの企画はビッグイベントであり、日々のモチベーションにもなっています。
長石 年間を通じていろんな活動をしている中、この企画は成長を持ち寄る場だという感覚もあります。音楽で語り合う時間が長いので、みんなが1年間どう過ごしてきたか、普段会っていなくても音を聴けば分かるんです。そこが楽しみであり、自分を振り返る機会にもなっています。昨年、(後藤)康くんが加入してさらにバランスが良くなったんですよ! 水谷くん、宇野くん、智道くんは知識が豊富で、僕と康くんはフィーリング系…
宇野 それぞれ個性の違う5人が共通の目的を持ってiichiko音の泉ホールに1週間滞在し、いろんなことをぶつけ合う。それが我々「西の星クインテット」のアイデンティティです。
ー5回目にして「西の星クインテット」と命名されたんですね!名前の由来は?
長石 グループ名はずっと考えていたのですが、なかなか決まらない中、康くんが入ってクインテットになり五角形、星というイメージが生まれました。そしてある日、みんなで食事をしに行った店で、焼酎好きの宇野くんが西の星を飲み始めて…「西の星っていいね!」と意見が一致。会場名にちなんでいるのも気に入って、三和酒類さんにも公認していただき、やっとしっくりくる名前になりました。
この5人だから
ー今回のプログラムは「音を重ねていく」という試みですね。
宇野 全員で話し合い、1曲演奏するごとに楽器が増えていく構成にしました。すべて英国の作曲家による曲なのですが、個性はさまざま。編成と作曲家のスタイル、それぞれの違いをハッキリと感じてもらえたらと考えています。特に、弦楽三重奏とピアノ四重奏は、弦楽器3人が全く違う時代のサウンドをどう表現できるのか、演奏する僕自身も楽しみです。
長石 僕が担当する1曲目のヴィオラソロは、コンサート全体の成功を左右する気がしています。しっかりと世界観を打ち出したいですね。
ーリハーサルを公開するスタイルには、どのような気持ちでのぞんでいますか?
宇野 最初は怖かったです。
長石 初めて曲を合わせるときの不安をお客様に見せること自体、リスクしかなくて、音楽家としては絶対に見せたくなかった。ですが、その怖さが消えたんですよね。
宇野 このメンバーだから何でもできる安心感があるし、そもそも僕らは誰も「できない」とか「嫌だ」とか言わないんですよ。
長石 そう。だから「どうぞ見てください。この状態からどうなっていくかも含めて楽しんでください」というエンタメの形に全員が賛同できたんです。
宇野 今は普段のリハーサルにのぞむのとあまり変わらない気持ち。多少、品良くしようとは思っています(笑)。
長石 言葉選びとかね(笑)。
ークリエイティブクラスには、どんな思いがありますか?
宇野 今までは若手演奏家の方々に出演してもらっていましたが、もっと幅広く人材を募集して一緒に音楽を創ってみたいと思い、初めて公募というスタイルに挑戦しました。
長石 僕自身、以前iichiko総合文化センター主催の室内楽プロジェクトのマスタークラスを受けたことがきっかけで、ヴィオラに転向したんです。今度は僕らがそういう影響を与えられる存在になれたらと思います。
ーでは最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
宇野 公開リハーサルは無料なので、まずは5人の人間ドラマを見るつもりでふらっと立ち寄ってほしいです。おそらく、リハーサルではいろんなことが起きます。「さて、どうしようか?」と考え始め、バチバチと火花が散る場面もあるかもしれませんが、それも必要なこと。どういう風に音楽を創っているのかという部分にぜひ興味を持っていただきたいです。
長石 その上で、本番がリハーサル通りの演奏にならないのも見どころ(笑)。驚きの連続で、楽しくて笑顔になってしまうのが僕らの特徴でもあります。
宇野 篤志くんが一番、リハーサルと違うでしょ?! そこも楽しんでもらえたら嬉しいです。
リハーサルの結果、どんな化学反応が起こるのかが楽しみな「ファイナルコンサート」
「公開リハーサル」では、普段は見られないアーティストの考えも失敗も、包み隠さず見られる。一般公募で選ばれたクリエイティヴクラスの参加者と一緒に練習する時間もある。
Schedule
※②〜⑤の数字は、ファイナルコンサートの欄で該当する番号をご確認ください。※曲目や時間の変更が生じる場合があります。※①の公開リハーサルはありません。
2/18(水)〜21(土)公開リハーサル&クリエイティヴクラス(入場無料)
- 各開始時間の20分前開場
- 入退場自由
- 入場年齢制限なし
| 日付 | 時間 |
|---|---|
| 1日目 2/18(水) | ●14:00~15:00・・・④ ●15:15~15:45・・・③ ●16:00~16:30・・・② ●17:00~20:00・・・⑤ |
| 日付 | 時間 |
|---|---|
| 2日目 2/19(木) | ●15:00~18:00 ・・・ ⑤ ●18:30~21:10 ・・・ クリエイティヴクラス |
| 日付 | 時間 |
|---|---|
| 3日目 2/20(金) | ●14:00~17:00 ・・・ ⑤ ●17:40~20:30 ・・・ クリエイティヴクラス |
| 日付 | 時間 |
|---|---|
| 4日目 2/21(土) | ●18:00~19:30 ・・・ ③④ |
2/21(土)津久見スペシャルコンサート(入場無料)
- 整理券は津久見市民会館、同市教育委員会生涯学習課、同市観光協会、iichiko総合文化センターで配布中。
2/22(日)クリエイティヴクラス成果発表会(入場無料)
2/23(月・祝)ファイナルコンサート(未就学児入場不可)
② E. エルガー/朝の歌・夜の歌 ヴァイオリン(水谷)・ピアノ
③ H. パーセル/3声のファンタジア 弦楽トリオ(ヴァイオリン / 後藤)
④ F. ブリッジ/ピアノ四重奏のためのファンタジー ピアノ四重奏曲(ヴァイオリン / 後藤)
⑤ E. エルガー/ピアノ五重奏曲 イ短調 作品87 ピアノ五重奏曲
(公財)大分県芸術文化スポーツ振興財団(097-533-4004)
この記事は「びびNAVI vol.113」で掲載された記事です。
五感の翼が広がる総合ガイド誌「びびNAVI」は、iichiko総合文化センター及び大分県立美術館の館内ほか、県内や隣県の公立文化施設などで配布中。