必要な装飾は「色」だけ── カイ·フランク展
「フィンランドデザインの良心」と称されるカイ・フランク(1911–1989)。その名を知らずとも、日々の暮らしのなかで彼のデザインに触れている人は少なくないかもしれません。テーブルウェアからガラス作品まで、多彩な創作を通して思想をたどる大回顧展。その見どころを紹介します。
《トイヴェ(希望)》パッケージ 1955年
装飾を加えるのではなく、かたちを削ぎ落とす。個性を競うのではなく、誰にとっても使いやすい構造を探る。カイ・フランクが目指したのは、特別な器ではなく、誰もが手にできる、日々の暮らしのためのデザインでした。その視線は、常に暮らしの側にありました。
1950年代、フィンランドは戦後復興の途上にありました。物資も限られ、暮らしを立て直そうとしていた時代です。そんな背景のなかで、カイ・フランクが陶磁器メーカーアラビアで手がけたのが《キルタ》でした。
当時、用途ごとに形やサイズが分かれているのが一般的だった従来の器に対し、形はシンプルに統一。重ねて収納でき、色を自由に組み合わせられる。用途を限定しない設計も革新的でした。合理的でありながら、どこかあたたかさを感じさせる。のちに《ティーマ》へと受け継がれていくこのシリーズは、戦後の暮らしのなかで生まれ、日々の食卓の風景を少しずつ変えていきました。
本展では、そうしたカイ・フランクのデザイン哲学を、250点以上の作品を通してたどります。 また、日本文化に深い関心を寄せ、三度にわたり来日した彼の足跡にも注目。日本との出会いが、創作に何をもたらしたのか。会場でご覧ください。
みどころ1
代表作《キルタ》
カイ・フランクが手がけた代表的なテーブルウェアシリーズで、フィンランド・デザインの到達点とされる《キルタ》と、その後継シリーズ《ティーマ》を、インスタレーションを交えて展示。色とかたちの美しさに、自然と目が向かいます。
みどころ2
初期の作品 若き日の多彩な表現
機能的でミニマルなデザインへと向かう以前、カイ・フランクは木製玩具やプリント生地など、おとぎ話を思わせるロマンティックな作品も手がけていました。若き日の多彩な表現にも目を向けてみてください。
みどころ3
多彩なアートガラス
日常使いのシンプルなガラス製品を手がける一方で、カイ・フランクは、芸術的なガラス作品も生み出しました。《プリスマ(プリズム)/KF215》の光を受けて表情を変えるフォルムや、1979年のプレートに広がる大胆な色彩など、光と色が生み出す表情も見どころです。
みどころ4
カイ・フランクと日本
1956年の来日を経て制作された《KF1》 サービングプレート。折り紙を思わせる幾何学的なかたちに、日本文化との出会いの余韻がにじみます。
禅や伝統工芸の影響が感じられる作品を、日本の工芸家の作品とあわせて展示。かたちの奥にある思想にもご注目ください。
[ 数量限定販売 ]イッタラとの特別コラボ カイ・フランク展記念アイテム
1階ミュージアムショップ「ポルトポルタ」で、会場限定の記念アイテムを販売。カイ・フランクの世界観を、ショップでもお楽しみいただけます。
※数量限定のため、なくなり次第終了となります。
単色でも美しく、組み合わせると『北欧の食卓』が完成する。カイ・フランクを語るうえで外せない存在。丈夫で日常使いしやすく、今なお愛されるタイムレスなデザインが魅力。色は、深みのあるヴィンテージブルーと落ち着いたリネン。底面には展覧会限定のボトムスタンプ入り。
各3,960円(税込)
復興への願いを込め「トイヴェ(希望)」と名付けられた当時のギフトボックスを再現。クリア、リネン、パイングリーン、カルーナの4色が重なり合う様子は、眺めているだけで心が温まります。大切な人への贈り物や、自分へのエールに。
8,500円(税込)
中央がくびれたシンプルなデザインは、持ちやすさと、かたちの美しさを両立。水を注ぐ動作さえ美しく整えてくれる。光が当たるとシーブルーの影がテーブルに広がり、静かな美しさを添えます。花を一輪挿せば絵になる佇まいに。
〔カラー:シーブルー〕 20,900円 (税込)
©Architecture & Design Museum Helsinki
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この記事は「びびNAVI vol.115」で掲載された記事です。
五感の翼が広がる総合ガイド誌「びびNAVI」は、iichiko総合文化センター及び大分県立美術館の館内ほか、県内や隣県の公立文化施設などで配布中。