理事長あいさつ

公益財団法人大分県芸術文化スポーツ振興財団 理事長

広瀬 勝貞

 大分県は豊かな自然と古い歴史文化を背景に宇佐・国東を中心とする神仏習合、大友宗麟の時代の南蛮文化など、異文化を積極的に受け入れる進取の気風に富んだ社会をかたちづくってきました。現在もこのような歴史風土は大分の人びとに受け継がれ、脈々と息づいています。
 iichiko総合文化センターと県立美術館で形成された「芸術文化ゾーン」は北に国東半島、南に佐賀関に囲まれた別府湾に面し、由布岳、鶴見岳を仰ぎ、遥かに九重連山を眺む絶好のロケーションにあります。
 当財団は「豊の国」を象徴するこの芸術文化ゾーンを「五感の翼」と名付け、美術と音楽など幅広い分野の芸術文化の融合と、新たな価値の創造を目指す活動を展開しています。

 令和6年度は、第3期中期経営戦略計画の2年目です。総合文化センター及び美術館の管理運営について、これまでの経験を活かし、今後のサービス向上や施設の利活用の促進に努めるとともに、中期経営戦略計画に盛り込んだ具体的な取組みを着実に実行し、芸術文化の振興はもとより、芸術文化の創造性を活かして教育、産業の振興、地域づくりの推進に貢献することを目指します。
 本年度は、5月中旬にiichiko総合文化センターの改修工事が完了し、19日のアルゲリッチ音楽祭から公演を再開します。リニューアルしたグランシアタと音の泉ホールの優れた特徴を活かして、ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団といった海外オーケストラや歌劇「竹取物語」といった親子で楽しめる公演など、県民ニーズを捉えたバランスの良いラインナップを揃え、お客様をお迎えしたいと思います。
 美術館は2025年に開館10周年を迎えます。その前年となる今年は、たゆまぬ努力とあくなき挑戦を続けた「北斎と広重展」やダリの生涯を俯瞰する「サルバドール・ダリ展」など、例年より多い7つの企画展を開催します。質の高い企画展を自宅の応接間にいるよう気軽に楽しんでいただきたいと思います。

 私たち大分県芸術文化スポーツ振興財団は、多くの県民の皆様に音楽や演劇などの公演や美術作品などを鑑賞し楽しんでいただきながら、その中で、県民の皆様から頂戴したご意見やご希望に応えるべく絶えず成長していく、そういった財団であることが大事だと思っています。
 iichiko総合文化センターと県立美術館が多くの県民の皆さんに親しまれ、心に残る施設として愛され、県民の「心のふるさと」となれるよう、ともに力を合わせて運営に当たってまいりましょう。



令和6年4月