“他者の存在をポジティブに” チームラボが描く共創の未来 チームラボ(カタリスト)西口正人
チームラボ 学ぶ!未来の遊園地と、花と共に生きる動物たち

7月19日に開幕する「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地と、花と共に生きる動物たち」は、共創(共同的な創造性)をテーマにした展覧会。
そして新しい教育のかたちを示すプロジェクトでもあります。
2013年にスタートし、全世界で1500万人以上が体験してきた本展について、チームラボ(カタリスト)の西口正人さんにお話を伺いました。





他者の存在があなたの世界を広げていく
「学ぶ!未来の遊園地」では、デジタルテクノロジーを用いたインタラクティブな映像作品を数多く展示しています。例えば《スケッチ環世界》では、来場者自身が紙に描いた動物が作品のなかに登場し、会場にあるスマートフォンを通してかれらを自由に操縦することができます。そうやって積極的に作品に参加し、また、自分以外の来場者がつくった生き物や創作物からも影響を受けながら遊びを広げていく体験は、チームラボが目指している「人々の関係性を変化させ、他社の存在をポジティブなものにしていく」というテーマを体現しています。
さらに本作では、鷹やイルカが感じている世界の姿をスマホを通して知るころができます。イルカは色彩を認識しませんが、音の反響で世界を感じています。人間の目では生花と造花の違いはすぐにはわからないけれど、イルカは素材ごとに異なる音の吸収度合いで、即座にそれらの違いを理解できるんです。
異なる方法で世界を感じている「他者」の存在を学び、それぞれの違いをポジティブに理解すること。そういった身体的な体験を通して、学び、ともにアートを創っていくこと。それがこの展覧会の特徴です。また、十分な天井高があり広く空間を活用できるOPAMでは、チームラボの作品の魅力をフルに発揮できます。
共創は、世代を超えて響き合う
私は2010年にチームラボに参加し、カタリスト(触媒者)として作品制作から展覧会企画、広報宣伝まで、プロジェクトのあらゆる要素に関わる仕事をしてきました。チームラボは異なる技術や知識を持った専門家の集まりで、上司と部下のような上下関係のヒエラルキーを持たないチームです。現在は総勢1100名のメンバーが在籍し、企業のためのアプリ開発といったソリューション事業と、美術館で見られるようなアート制作を組み合わせながら循環的な創造環境をつくっています。
また起業から約20年が経って、子どものときにチームラボ作品を体験してアートの世界に興味を持った若者が、成長してチームラボに入社する例も見られるようになりました。世代を超えたチームになりつつあることもチームラボなりの「共創」の実践であって、個人的にもとても感慨深いです。
自由を感じる瞬間を!
私たちが生きている社会は、「あれはやっちゃだめ」「これはやっちゃだめ」という制限や抑圧がたくさんありますよね。でも「学ぶ!未来の遊園地」は、そのプレッシャーから離れて、自分から動き、参加することで世界がポジティブに変化していく体験を提供します。互いに自由な存在として他者同士が関わり合い、共創的な活動やアートを生み出していくこと。それをぜひ体感して、みなさんの日常に持ち帰っていただけたら嬉しいです。
文:島貫 泰介
information
10:00~19:00
- 金・土曜は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
【休日入場券(土日祝・お盆時期8月12日~8月15日)】大人2,000円/中高校生1,500円/子ども(3歳以上)1,000円
- 3歳未満入場無料
- 中高生は当日要学生証提示
- 購入完了後の変更・キャンセルはできません
- 再入場はできません
- 障がい者手帳提示者本人1名入場無料(付き添いの方1名まで無料)
- 混雑時は入場を制限する場合があります
- 団体料金はありません
- 大分県芸術文化友の会 びび KOTOBUKIとTAKASAGOは無料(1回まで)

描いた生き物を、その場でプロダクト(缶バッジやペーパークラフト)にして持ち帰れます。(※追加料金あり)
大分トヨタ自動車
清水ハウス 大分支社
この記事は「びびNAVI vol.110」で掲載された記事です。
五感の翼が広がる総合ガイド誌「びびNAVI」は、iichiko総合文化センター及び大分県立美術館の館内ほか、県内や隣県の公立文化施設などで配布中。
