INTERVIEW アンサンブル·ウィーン=ベルリン Karl-Heinz Schütz
「皆で一緒に音楽を奏でるのが楽しい」という原点を大切にする
ドリームチームによる木管アンサンブル
この9月、「アンサンブル・ウィーン=ベルリン」が来日する。このアンサンブルの歴史は、1983年、ウィーンとベルリンのトップオーケストラの首席奏者たちにより結成されたことにさかのぼる。「ドリームチーム」というべき世界最高峰の木管アンサンブルを大分で聴ける貴重な機会を前に、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席フルート奏者、カール=ハインツ・シュッツ氏へのメールインタビューが実現した。
文:中村真人(音楽ジャーナリスト/ベルリン在住)
ー シュッツさんは、2011年に、ウィーン・フィルの首席フルート奏者だった故ヴォルフガング・シュルツ氏の後任としてこのポストに就任されました。アンサンブル・ウィーン=ベルリンの創設メンバーでもあるシュルツ氏は、シュッツさんにとって大きな存在だったのではないでしょうか。シュルツ氏から学んだこと、お手本にされていることがあれば教えてください。
ウィーン・フィルでシュルツ氏の後を継ぐことができたのは、私にとって特別な名誉でした。彼は私の子ども時代から青年期、そして学生になってからも、常に憧れの存在でしたから。特に感銘を受けていたのは、フルートをまるで歌手のように歌わせる力量です。その特別な音色と、音楽に込める圧倒的なエネルギーにより、オーケストラ全体に影響を与えることができる人でした。
ー アンサンブル・ウィーン=ベルリンは結成から40年以上が経ち、創設メンバーは一人も残っていません。それでもなお、このアンサンブルにおいて継承されているものはありますか?また、ウィーンとベルリンという欧州でトップクラスの楽団のメンバーが定期的に顔を合わせることで、メンバーの皆さんは互いにどう刺激し合っているのでしょう。
「皆で一緒に音楽を奏でるのが、とにかく楽しい。」シンプルですが、これこそが私たちの最も大切な原点です。それぞれ偉大なオーケストラの持つ芸術的センスが出会うことで、新しいエネルギーやインスピレーション、そして独自の空気感が生まれます。それが室内楽という、より親密なステージへと流れ込み、ここでしか生まれない化学反応を起こすのです。
ー シュッツさんはウィーン・フィルのメンバーであると同時に、ウィーン国立歌劇場管弦楽団の首席フルート奏者でもいらっしゃいます。コンサートにオペラにと日々ご多忙と想像しますが、「音楽をする上で最も大切にしていること」は何でしょうか。また、それはどのような経験を通して形づくられてきたものでしょうか。
私たちは一日中「音楽家」です。音楽家であることの本質は、本番のコンサートだけでなく、練習し、耳を傾け、思考を巡らせる長い時間の中にあります。私は、自分がこうした非常に特別で唯一無二の環境の中で活動できていることを深く実感しています。 ウィーン・フィルのコンサートやオペラは、ユニークで豊かなインスピレーションの源です。特に、最高の歌手たちと毎日を共に過ごせる環境は、私にとってかけがえのないもの。最終的に私たちが感じ取るべきなのは、常に作品の内面であり、作曲家が個人的に伝えたかったメッセージの核心です。それを最も印象的に体感できる場がオペラなのですね。この経験は、私の演奏スタイルや、音色と響きへの考え方にとても大きな影響を与えています。
ー 今回のプログラムは、オーケストラ作品の編曲が2曲、木管五重奏のために書かれたオリジナル作品2曲で構成されています。木管五重奏というジャンルの魅力とともに、プログラムの聴きどころについて教えてください。
木管五重奏は、「管楽器の室内楽の中で最も難しい編成」と言われています。なぜなら、音響学的に見て、音の出し方がまったく異なる5つの楽器が出会う場だからです。弦楽四重奏や金管アンサンブルとは異なり、サウンドに均質性、丸み、そして柔らかさを生み出すには特別なアプローチが必要となります。しかしその一方、特に現代のレパートリーにおいて、文字通り無限の音色の可能性をもたらしてくれます。 今回のプログラムでは、このレパートリーの代表作のほか、とても優れた編曲による二つの作品(メンデルスゾーンとプロコフィエフ)を皆さまにお届けします。大編成のオーケストラの響きのイメージが、木管五重奏という親密な形へどのように変わるか、ぜひお楽しみください。
ー 大分にもフルートや木管楽器を学ぶ学生や愛好家が多くいます。音楽を続けていく上で大切にすべきことについて、アドバイスをいただけますか。
ドイツ語で楽器を演奏することをSPIELEN(遊ぶ・楽しむという意味もある)と言い、ARBEITEN(働く)とは決して言いません。これは特に素晴らしい表現だと思っていて、音楽を愛するすべての演奏家の皆さんにお贈りしたいです。
ー 今回の大分公演を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをいただけますか。また、日本で楽しみにしていることがあれば教えてください。
アンサンブル・ウィーン=ベルリンのメンバー一同、大分のファンの皆さまにお会いできることを心から楽しみにしておりますし、私たちの音楽を分かち合うのが待ち切れない気持ちです。美しい景色と、礼儀正しくフレンドリーな人々がいる日本を体験することは、毎回特別な喜びです。そしてもちろん、素晴らしい食文化や日本のビールも大好きです!
PROGRAM
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ダンツィ:木管五重奏曲 ニ短調 Op.68, No.3
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メンデルスゾーン(シェーファー編): 夏の夜の夢 Op.61
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タファネル: 木管五重奏曲
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プロコフィエフ(リンケルマン編): 組曲「ロメオとジュリエット」
出演
information
- 全席指定
- 未就学児のご入場はご遠慮ください。
この記事は「びびNAVI vol.116」で掲載された記事です。
五感の翼が広がる総合ガイド誌「びびNAVI」は、iichiko総合文化センター及び大分県立美術館の館内ほか、県内や隣県の公立文化施設などで配布中。